帯電列とは?

2種類の物質が接触・剥離した際、一方の物質は正に、他方の物質は負に帯電します。このとき、接触・剥離した際にどちらが正/負に帯電するかは物質の種類によって決まっており、正になりやすい物質から負になりやすい物質を順に並べた一覧を帯電列といいます。

帯電列表
電 列

帯電列において、より離れた位置に記載されている物質(材料)同士を接触・剥離するとより強い帯電を示します。

一方、隣接している物質や同じ物質同士の帯電量は比較的小さくなります。

左写真:アルミと摩擦したPETの帯電例/右写真:PET同士の摩擦帯電例

帯電列を参照する際の注意点

材料の表面状態(表面の平滑性や水分付着・不純物の有無など)や温度によっても帯電の傾向が変化します。特に、近接して記載された物質間では正負の帯電が逆転しやすいです。

加えて、帯電した物質と接触する場合は、同じ材料同士でもより強い帯電が発生します。

左写真:除電したPET同士の摩擦帯電/右写真:除電したPETと帯電したPETの摩擦帯電(写真は除電PET側)

また、帯電列に掲載されている材料であっても、可塑剤の添加や表面処理等が含まれることで、帯電列の順が変動することがあり得ます。帯電列を静電気障害の対策として利用する場合は、帯電列表を鵜呑みにするのではなく、採用予定の材料そのもので帯電傾向を確認する必要があります。

各材料が工程に設置された後には、材料表面の継時変化や異物付着、接地不良によって帯電の傾向が変化します。具体的には、樹脂系材料の場合:紫外線やオゾンによる劣化/摩耗/異物の転写など、金属系材料の場合:オゾンによる表面修飾/アースの断線などがあります。工程に設置後も、各材料のモニタリングが必要です。

なお、帯電抑制を目的として、帯電防止材料への置換えを実施するケースがありますが、使用方法が適切でない場合は帯電状況が悪化することも起こり得ます。

左写真:PET同士の摩擦帯電/右写真:PETと帯電防止PETの摩擦帯電(PET側)

帯電列を静電気対策に活用する場合、下記項目などを踏まえる必要があります。

 1)それぞれの材料の表面状態
 2)接触前の帯電の有無
 3)温湿度・気圧等の環境
 4)継時変化

帯電列は、静電気対策の有用な知見ですが、万能ではありません。工程内の除電や接地、湿度制御などの対策と組み合わせることで、高い効果が見込まれます。

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