『イオナイザを設置しても効果がない??』 不適切なイオナイザ利用のリスク
イオナイザはイオンの供給機です。したがって、不適切な設置・使用方法では、効果が発揮されないどころか却って静電気(イオン電荷)の供給機となるリスクがあります。
また、イオンの到達速度より対象の移動速度が速い場合も除電効果が十分に得られません。
加えて、正/負の帯電パターンが細かく分布している場合、近接する正/負の静電気が電界を閉じてしまうため、イオンが供給されずに電荷が残ってしまいます。
イオナイザを導入する場合、上記の様な特性を把握しつつ、適したイオン生成方式、形状の機器を選定する必要があります。
不適切なイオナイザ使用例
帯電している面の反対側にイオナイザを設置しても、帯電電荷の除去はできない。
設置場所について
イオナイザを効果的に使用するために、設置場所の選定は重要です。
設置場所の候補としては、
・強く帯電が発生する場所の直後
(パチパチと放電の音がする場所や、コロナ放電工程など)
・トラブルが発生する場所の直前
卓上などはその場所、搬送路では上流側直近
など、効果的な場所を選定します。
また、イオナイザの機種によって有効な除電距離や面積・対応速度が異なるため、適切な機種選定とともに、除電対象とイオナイザの位置関係が適切となるよう注意します。
遮蔽物が無い事やエアフローの向きなどにも留意しましょう。
イオナイザ選定のチェックリスト
選定・設置時の主なチェック項目は以下の通りです。
- 帯電量がどの程度か
- 除電対象の耐電圧
- 除電レベルをどの程度に想定するか
- 設置場所・スペース
- 除電対象の大きさ・形状(奥行があるか等)・距離
- 除電距離の変動有無(フィルム等、巻物の直径など)
- 搬送スピード
- 清浄度・発塵防止レベル
- エアーによる除塵が必要か
- 風や圧搾空気の使用可否
- 環境(気圧・ガス組成・湿度・温度)
- 発火・着火源の雰囲気下かどうか(防爆対策の要否)
- 電界ノイズに弱い機器が近傍にあるか
性能・効果の評価方法
イオナイザの性能評価には主に下記の機器・方法を使用します。
チャージプレートモニタ
(評価場所:除電を実施する場所)
イオナイザから供給される正負のイオン量のバランス(イオンバランス)が崩れると、除電能力の低下や帯電の原因となります。
チャージプレートモニタはイオンバランスを評価する際に使用します。
除電する位置に帯電プレートを設置し、イオナイザを稼働させると、イオンバランスと除電スピードを測定することができます。
搬送材料の除電用途の場合は除電スピードが搬送スピードを上回っているか※を確認します。イオンバランスや除電スピードは放電針の劣化や汚れにより変化しますので、定期的に測定します。
※実際の電荷量との比較が必要です。電荷量が大きいほど、除電時間は長くなりますが、同電圧でも静電容量が大きいほど電荷量が大きくなる点に留意が必要です。
電位計
(評価場所:除電箇所の前/後流で比較)
稼働中の工程で電位の変化を確認します。測定対象の背面・周囲にSUSなど別の資材がない領域で測定します。
工程の稼働時間や季節変動などにより、帯電量が変化するため、継続的な評価が必要です。
電位計測定の欠点として、正負の帯電が微細なパターンを生じている場合、測定上は0Vと表示されてしまいます。
このような場合は、トナー分析による評価が必要です。
トナー分析
(評価場所:除電箇所の前/後流)
除電効果を視覚的に把握可能な方法です。正負の帯電が微細なパターンなど、他の評価手法では把握できない帯電を高い分解能で評価できます。
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