アースによる接地は静電気対策の基本ですが、適切に利用しなければ効果が発揮できないばかりか、事故原因にもなります。ここでは、アースの効果やよくある誤解を解説します。
アースを設置しない危険性 ー 導体も帯電する
金属などの導体もプラスチックなど絶縁体と同様に他の物体と接触・剥離したりすると静電気が発生します。したがって、接地せずに使用すると静電気を除去することができず、絶縁破壊電圧を超えると放電が発生します。
放電すると静電破壊や電波ノイズの発生、材料へのピンホールや火災など、様々なトラブル・災害につながります。
このような障害を避けるためには、各導体を “同電位”にして放電を防ぐ必要があります。大地への接地(アーシング)は、同電位を構築する容易な方法として用いられています。
※医療設備などでは、接地を用いずに機器間を接続することで同電位化している例もあります(局部等電位化)。
アースの効果
金属などの導体にアースを接続すると、地面との間で電荷のやり取りができます。下図のように、導体が他の材料と接触・剥離して帯電した場合も、速やかに電荷が中和されます。
一方、アースのついていない側の物質は、導体・絶縁体ともに除電されない点に注意が必要です。この場合、アースに接続した導体と、接続していない物質との間で“同電位”が失われ放電リスクが発生します。
このように、同電位化は、工程全体で取り組む必要があり、漏れがあるとそこがリスクになります。
アースにつなげば帯電しない?
導体をアースに接続していても、周囲に電界が生じると帯電します(誘導帯電、下図)。誘導帯電が絶縁破壊電圧を超えると放電が発生します。アースに接続している導体は、大地との間で電荷を無限に供給/除去することができるため、何度も放電が発生する可能性があり、注意が必要です。
プラスチックは接地できない
プラスチックなどの絶縁体は電気を通さないため、アース線を接続してもアースに電荷が移動することはありません。
絶縁体の除電については、イオナイザなどの除電機器を使用する必要があります。
※カーボン練りこみ品など導電性のあるプラスチックは接地可能です。
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