静電気関連機器(測定器・除電機器)・帯電防止材料などについて
静電気対策に使用される代表的な機器・材料の特徴と注意点をご紹介します。
1. 測定器・検知器
表面電位計
工程に持ち込みやすく、現場での帯電量の把握に最適です。
一方、一般的なハンディタイプは測定範囲が10㎝程度※と広いため、それより小さい対象の帯電量は正確には測れません。
より狭い範囲で測定したい場合は、プローブタイプがお勧めです。
※機種と測定距離により異なります。
放電検知器( EMIロケータ/ESDイベント・ディテクタ)
静電気の放電時に発生する電磁波を検知して放電を知らせる機器です。複数の検知器を利用して放電個所を特定するタイプもあります。
表面抵抗率計
帯電防止フィルムや導電性シートなど、静電気対策材料の表面抵抗率を測定します。工程部材の導電性を確認したり、導電性シートの摩耗による劣化を確認するなど、工程管理に使用します。機種により測定可能な抵抗率の範囲が異なるため、目的にあった機種を選定します。
チャージプレートモニタ
除電機(イオナイザ)から放出される±のイオンバランスを確認する機器です。
イオンバランスが狂っていると、却って対象を帯電させてしまう可能性があるため、除電対象に±バランスよくイオンが供給されているかを確認し、必要に応じてイオナイザを調整します。
専用の機器の他、表面電位計でも簡易測定できるタイプがあります。
2. 除電機器(イオナイザ・除電紐)
除電紐・除電ブラシ(自己放電式除電機器)
除電ブラシや除電紐に編み込んだ金属繊維と、除電対象との電位差に応じてコロナイオンが放出され除電を行います。必ず接地して利用してください。
ブラシや紐が直接対象物に触れると接触・摩擦帯電が生じるため必ず浮かせて使用します。
イオナイザ
放電用の針に電圧を印加してコロナイオンを発生させる機器。電源タイプによりDC/DCパルス/ACなどがあり、ファンタイプ/バータイプなど設置場所・方法に応じて形状にバリエーションがあります。
その他、光電離や紫外線を利用するタイプ、軟X線照射タイプもあります。軟X線照射タイプはある程度の透過性があるため、裏面の除電などに対応できる場合があります。
距離や向きなど接地方法・機器選定を誤ると却って静電気を供給してしまうことがあるため、注意が必要です。
3. 導電性・帯電防止部材
帯電防止部材
樹脂材料など絶縁性の材料に導電性材料を練り込んだりコーティングしたりした材料が上市されています。
導電性材料としては、カーボン・界面活性剤・CNT・導電性高分子などがあり、フィルムや袋・板材やトレイ・ゴムなど各種の材料・形態で提供されています。
様々な抵抗値の製品があるため、放電対策やノイズ対策など、用途に応じた抵抗値を選定する必要があります。
選定では、下記の点を考慮する必要があります。
・異物の脱落の有無
・乾燥時に導電性を発揮するかどうか
・耐摩耗性など要求する物性・耐久性を満たすかどうか
導電性コート剤
既存の設備や材料に塗布するコート剤は、水系・溶剤系があり、塗布方法もスプレー方式など手作業でできるものや、グラビアコータなど専用の塗工機を使用するタイプがあり、用途に応じて選定します。
下記の点を考慮して選定します。
・塗布対象への塗工可否
・塗液の密着性・脱落有無
・必要な塗布量
・塗布量と抵抗値の関係
・湿度依存性の有無
・耐擦傷性などの耐久性
4. 衣類・装着機器
作業者(人体)の帯電による電子部品の破壊を防止するためには、人体を接地して帯電電荷を減衰させます。接地方法としては、リストストラップの装着や静電気帯電防止靴(静電靴)などが上市されています。制電靴は床を介して人体の電荷を逃がす構造のため、必ず導電性(静電気拡散性)の床と組み合わせて使用します。
なお、作業者は工程間の移動などで、静電靴が床から離れたり、リストストラップが外れるなどのリスクがあります。このため。一つの対策だけでは接地不良のリスクが生じるため、複数の対策の併用が推奨されます。
また、リストストラップの断線や汚れ・摩耗による静電靴の機能低下を判定する測定機器も上市されていますので、作業前のチェック体制も容易に構築できます。
なお、静電靴を履く場合、多くの場合は靴下を利用すると思います。この場合、静電靴と人体は直接接していませんが、足は常に汗をかくため、この汗を介して人体→靴下→静電靴と導通します(靴下によっては導通がしにくいタイプもあります)。
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