接地の注意点
■全ての導体にアースをとる
接地していない導体が帯電すると、周囲の接地導体が誘導帯電します。工程内の導体は全て接地してくだい。
■独立した接地経路を設ける
棚板や導電マットの接地では、各板/マットそれぞれにアース線を接続する方法を推奨します。
■飛び地や配管同士はボンディングする
導体と導体の間に絶縁体(プラスチック等)がある場合、絶縁体が邪魔をして導通しません。絶縁体をまたぐ様に配線(ボンディング)し、導体が“孤島化”しないようにします。
■プラスチックなどの絶縁体は接地を使用せずイオナイザ等の除電機器を使用する
→イオナイザの種類・比較と選定方法をご参照ください。
■断線しにくい素材を選定する
稼働する部位や角など、曲げ/ひっぱり応力がかかる場所は、疲労により断線のリスクがあります。バネ状の伸縮タイプを使用する、アース線が引っ張られないようにしっかり固定する、などの対策をして断線を防ぎます。
■導電性ホースなどは付属のクリップを介して接地
導電性/帯電防止性ホースには、接地導体と確実に接続するよう工夫された専用クリップが付属しているタイプがありますので、説明書に従い利用してください。
■1つのアース端子台には1つのアース端子を接続する
端子台に複数のアース線を挟み込むとネジが弛みやすくなります。ネジが緩むと端子が外れたり、端子間で微弱な電流が流れて端子表面に酸化被膜ができ、アースの導電性が低下します。
■シート材への接地線接続は、カシメ等外れない方法を
導電性マットへのアース線接続はカシメ・ハトメ等で行うか、導電性テープ(基材に加えて粘着剤も導通するテープ)を使用して導通させる方法が適切です。なお、接続部は金属部が露出し、放電/感電リスクがあるためカバーしてください。
■抵抗値を管理する
接地した導体からの放電を避けるには、抵抗値を106~109Ω程度に設定する方法が有効です。必要に応じてアースに抵抗を設置してください。また、人が触れる可能性のある接地線は、接地と人体間で強い電流が流れるのを防ぐため、必ず電流制限抵抗を設けます。
※静電気対策の接地場所・用途によって適した抵抗値は変化します。
■定期的な接地確認
テスターや目視で定期的に接地状態を確認し、アース線の劣化/断線を早期発見できるようにしてください。
作業標準書などに検査手順を落とし込むなどの対策が有効です。
陥りちな接地トラブル
■静電靴を履いた足が宙に浮いている
着席中の作業で足が浮いてしまうと、静電靴から静電気を逃がす経路がなくなります。リストバンドの併用等、複数の除電経路を設ける必要があります。
■移動時の断線
席の移動時にリストバンドを外す、部屋のレイアウト変更時にアースが外される等、注意が必要です。
■キャスター/チェーンの汚れ
椅子や机の静電気対策として、キャスターやチェーンを介して導電床への導通を利用している場合、汚れていると導通が断線します。定期的な清掃を行ってください。
※接地の接触不良・断線はリスク大
アース線の劣化などで、接地が不安定な(接続・断線を繰り返す)状態は大変危険です。
接地した導体に誘導帯電が発生し、接地が途切れると導体が帯電したままになります(下図)。この状態で接地導体や帯電物体が接近すると放電を繰り返すリスクがあります。
以上のように、アースの効果や使用方法について、一般に流布する情報には多くの誤解が含まれています。アースの使用は工程の静電気対策の一手法であり、他の手法と最適化することで効果を発揮します。
ご不明点がある場合は、無料相談をご検討ください。
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